映画祭について

「Latin American and Caribbean Films for “Future” ~ラテンアメリカ・カリブ映画で触れるSDGs~」は、明治大学商学部「特別テーマ実践科目」履修者および所康弘ゼミナール生が中心となって運営委員となり、学生主体で企画・運営をしています。

 実施目的は、ラテンアメリカ・カリブ諸国で製作された映画作品の上映を通じて、多くの若い世代・大学生・外国人留学生ならびに一般の方々に、この地域の社会、文化・芸術、歴史などに触れる機会を提供することです。

 それだけではなく、運営委員が大学生ということもあり、とりわけ若い世代に対して、この地域が辿ってきた歴史の「光」と「影」のコントラストや発展のダイナミクスとその矛盾など、多様な/多面体としてのラテンアメリカ・カリブ諸国への理解を深めてもらいたいと考えています。

 若者やZ世代の意識は「持続可能な開発のための17の国際目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」(注1)と親和性が高いと言われているため、本映画祭ではSDGsの視点を切り口にして、上映作品を選考しました。そのことで、単なる作品の上映会にとどまらず、この地域からの視点を通してSDGsについて共に考える機会を提供し、サステナブルな未来(“Future”)を創出するうえで必要とされる社会的課題やグローバル・イシューの解決策を共に思い描くこともめざしています。

 今年度(2026年1月17日開催)は3作品を上映します。作品提供にご協力いただいた駐日メキシコ大使館、駐日キューバ大使館に感謝申し上げます。

 この映画祭がきっかけとなって、SDGsを切り口にこの地域への理解を深めると同時に、「自然との共生」、「ブエン・ビビール(Buen Vivir:スペイン語で「善き生き方」)」、「多元世界(Pluriverse:プルーリバース)」(注2)といったオルターナティブな世界観にまで視野を広げ、それによって、日本とラテンアメリカ・カリブ諸国との平和的で、かつ調和的な人(ヒト)と文化・芸術の相互交流促進の機運の醸成をはかることができれば幸いです。

(注1)持続可能な開発目標(SDGs)は2015年9月25日に国連総会で採択。その内容は、貧困、食料・栄養、保健・公衆衛生、教育、ジェンダー、水、エネルギー、労働、産業、不平等、都市問題、環境・気候変動など、多岐に渡る。
(注2)南米コロンビア出身研究者(政治経済学/人類学/ポスト開発学者)アルトゥーロ・エスコバルが提唱する概念(Arturo Escobar, Designs for the Pluriverse: Radical Interdependent, Autonomy, and the Making of Worlds, Duke University Press, 2018.)。近代(モダニティ)の存在論的構築物である「単一世界(Universe:ユニバース)」に対峙する概念であり、所与としての普遍的実存を否認する考え方。「関係性中心の存在論」への移行が提案されている。

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(C)REIKA NAKAYAMA